Contax T2と”I am a Camera”

Contax T2と”I am a Camera”

Contax T2

先日、Zeiss C Sonnar T*1,5/50のレンズで街歩きしたので、Contax T2のことを思い出した。このカメラのレンズZeiss T* Sonnar 38mm/F2.8は秀逸!Contax T2は高級コンパクトカメラの代表格だけあって、写りは最高にいい。出た直後、安直に気持ちいい写真が撮れると期待して、薄給を叩いて購入した。期待は裏切られなかった。このレンズ、随分長い間28mmだと勘違いしていた。撮れる写真の空間が外に広がる印象があったからかも知れない。国外に行くとき、特に僻地に行くときは、荷物にならないので必ず持っていた。お気に入りの写真も沢山撮ったし、おかげで多方面で使ってもらった写真もある。Arciveにもいくつか写真を残しておいた。ということで、防湿庫に置いてあったContax T2を出し、15年ぶりに電池を入れてみた。ちゃんと稼働する。

I am Camera

連想ゲームじゃないけど、Contax T2を手にとってファンダーを覗いていたら、尊敬してやまないアーティスト、Trevor Horn のI am Cameraを思い出した。Bugglesの代表曲はラジオ・スターの悲劇Video Killed The Radio Star)だけど、それよりもI am Cameraのほうが好きだ。「思い出は儚く消えていく、振り返っても拠り所はもはやない……….でも僕は忘れない、僕はカメラだから」。Contax T2を手にしてヘタな写真を撮っていたとき、頭のなかで、この曲がよくかかっていた。

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Yes、それじゃない

Trevor Hornはどぎつい眼鏡がトレードマーク。彼とGeoff DownesのBugglesは、1970年代末にJon Anderson とRick Wakemanが抜けたYesと合体して、Yes 名義のDramaというアルバムを制作した。そのYesのために彼が作曲作詞したのがInto the lensという曲。Yesらしいアレンジで、Steve Howeのギターが冴えててなかなかいい。でも、Jon Andersonの代役としてTrevor がヴォーカルとしてYesに加入したとき、イギリスのYesファンは彼に辛辣だったようだ。私も当時高校生でOn timeだった。実際、Bugglesは好きだったけど、Jon Andersonの代役のTrevor HornのYesのは、それじゃないと思った。そんなわけでTrevor は失意のうちにYesを脱退してしまった。それでBugglesを再結成し、出したアルバムのなかに彼自身のアレンジでInto the lensI am Cameraという曲名に変えて再録した。でもその当時、I am Cameraという曲は記憶に残らなかった。しばらくして、Trevorは一線を退いてしまった。私も彼のことは忘れてしまった。

その後、Trevor は裏方としてYesの活動を後押しつつ、プロデューサーとしてメキメキ頭角を現したらしい。イギリスで数多くのヒット曲を手掛けている。あっ、この曲いいなと思ったらプロデューサーはTrevor Horn、えっあの眼鏡のTrevor!?、なんてことが1980年代に良くあった。それで彼を再認識して、I am Cameraに再会した。なんと10年遅れで。ちょうど、薄給で出たばかりのContax T2を購入したころ。Contax T2でファンダーを除くと、I am Cameraの旋律が頭のなかを駆け回るのは、この2つの出逢いがシンクロしたせいだ。

天才Trevor Horn

彼がプロデュースした(音楽をしかけた)ミュージシャンはFRANKIE GOES TO HOLLYWOODArt of noisePet Shop Boysとか、あとt.A. T.uなんてのも。奇妙だけど旋律とリズムが心地よい、つまり、普通じゃあないけど気持ちいい曲が多い。2004年には、ウェンブリーで彼がプロデュースしたミュージシャンを集めての25周年記念コンサートを開いている。コンサートには皇太子時代のチャールズ国王も臨席し、DVDやCDも大いに売れたらしい。2012年にはProducersという、そのまんまの名前のバンドを結成しMade in Basing Streetというアルバムを出している。これもまたいい。まあ、とにかくTrevorの音楽センスは凄い。日本のミュージシャンも、かなり影響受けたんじゃないかな。音作りといい、旋律といい、彼の音楽は出てくるたびにいつも新しかった。彼の曲に張り合えるような、新しいけど心地よい写真を撮ってみたい。

そんなわけで、Contax T2を手にすると、I am Cameraと天才Trevor Hornを思い出す。

フィルムカメラが静かなブームになっている。某フィルムメーカーもフィルムを再製造する計画があるとか。近うちに、I am cameraを口づさみながら、Contax T2を持ってどこかに行ってみようかな。

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